「子どもが動き出してから…」が、親子の人生を止める

「子どもが動き出してから…」が、親子の人生を止める

「あの子が学校に行けるようになったら、私もやりたかったことを始めよう」
「もう少し元気になって、笑顔が増えたら、安心して出かけよう」

そう思いながら、自分のやりたいことや楽しむ時間をずっと後回しにしていませんか?

もちろん、そうなるのも無理はありません。
昼夜逆転の生活、開かない部屋のドア、将来の話をした瞬間に流れる重い空気。そんな我が子を目の前にして、自分だけが外で笑ったり楽しんだりするなんて、到底できないと感じてしまうのは当然です。

でも、あえて言わせてください。
子どもの準備が整うのを待っていたら、親の人生まで完全に止まってしまいます。

「そっと見守る」と「一緒に止まる」は違う

不登校になった子を焦らせたり、強引に学校へ引っ張っていったりするのは逆効果です。子どもがエネルギーを回復するには、どうしても「何もしないで待つ時間」が必要です。

ただ、ここで勘違いしやすいのが「待つ=親も一緒に人生を止める」ではないということ。

子どもの顔色をうかがい、自分の楽しみを封印して過ごす。これは「見守る」ではなく、親子で一緒に立ち止まって息を潜めている状態です。子どもを追い詰めないことと、親が自分の人生をあきらめることは、まったく別の話なのです。

「何もしない」という選択にも、実は大きなリスクがある

私たちは、何か新しいことを試して失敗するのが怖くなります。

「出かけた隙に子どもに何かあったらどうしよう」
「親が楽しそうにしていたら、薄情だと思われるんじゃないか」

そう考えると、今のまま何もしないほうが安全に思えますよね。

でも、「何もしない」ことにもリスクはあります。
親の不安は部屋の中に充満し、会話のテーマは子どもの生活や学校のことばかり。そんな空気を、子どもは敏感に察知します。そして「自分のせいで、お母さんの人生が止まっている」と胸を痛めるのです。

「僕が元気にならないと、お母さんは幸せになれない」

そんな重すぎる責任を、子どもに背負わせる必要はありません。

子どもが元気になってから、幸せになるのではない

「子どもが元気になったら、私も安心できるし笑えるのに」

そう思う気持ちは痛いほどわかります。ですが、その「順番」を待っていると、親子の苦しい時間はかえって長引いてしまいます。

子どもは親の言葉以上に、部屋に流れる「空気」を吸って生きています。
言葉では「ゆっくり休んでいいよ」と言いつつ、親の顔が不安で曇っていたら、子どもは到底休まりません。

逆に、親が自分の時間を作り、外で誰かと笑い、自分の人生を楽しみ始めると、家庭の空気が「不安」から「安心」へと変わります。親が楽しそうに生きている姿を見て初めて、子どもも「自分の人生をどうしようか」と少しずつ前を向く余裕ができるのです。

正解探しをやめると、心がフッと軽くなる

子どもが不登校になると、親は必死で正解を探し始めます。
ネットを検索すれば「徹底的に見守りましょう」という意見もあれば、「甘やかさず働きかけるべき」という声もあり、調べれば調べるほど動けなくなってしまいます。

けれど、不登校の対応に「これさえやれば一発解決」という魔法の正解はありません。
大事なのは、完璧な答えを当てることではなく、小さな変化を試しながら修正していくことです。

話しかけすぎて鬱陶しがられたら、少し引いてみる。放っておきすぎて孤立していると感じたら、たわいない雑談を増やしてみる。
一度決めた方針に固執する必要はありません。やりながら微調整していけばいいのです。

「今まで頑張ってきたから」を手放してみる

毎朝の声をかけや、学校からの連絡の共有。「これだけ努力してきたんだから、今さらやめられない」と感じる手法もあるかもしれません。

ですが、「親の努力の量」と「その方法が今の我が子に合っているか」は別問題です。
声をかけるたびに空気が悪くなるなら、思い切って声かけをやめてみる。説得するほど心を閉ざすなら、説得を手放してみる。

効果のない関わりをやめることは、子どもを見捨てることではありません。それもまた、立派な愛情の形です。

今日からできる、ほんの小さな一歩

いきなり生き方をガラリと変える必要はありません。
まずは今日、子どもへの声かけを「1回だけ」減らしてみてください。

そして、浮いたその時間で、自分のための時間を過ごしてみてください。
散歩に出かける。温かいお茶を飲む。読みたかった本を開く。夫婦で子ども以外のくだらない話をして笑う。

楽しむことに罪悪感が湧いてきても大丈夫。「罪悪感が消えたら動こう」と思っていると、一生動けません。罪悪感を少し抱えたままでいいので、小さな自分の時間を楽しんでみてください。

子どもには、子どもの回復ペースがあります。親が焦って引っ張ることはできません。
だからこそ、親は先に自分の人生を取り戻していいのです。

親が自分の人生を生き始めたとき、子どももまた、自分の人生を生きる勇気をもらい始めます。

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